“玉に触れることなくパチンコを遊べる。新たなパチンコシーンを任される形でデビューしたスマスロ……
スマパチ【スマートパチンコ】とは?特徴と遊び方・現行機種との違いなどを解説
パチスロにメダルを使わずに遊技する「スマートパチスロ」があれば、パチンコにも『スマートパチンコ』があります。
ただし、スマスロはメダルに関する部分を完全にデジタルでやり取りできるため、プレイヤーからするとメダルレスで遊技しますが、パチンコは玉を打ち出し、入賞させて、その払い出しを受けるという物理的遊技のため、スマパチと言えども実際に玉を使ってプレイすることになります。
そんなスマートパチンコことスマパチとは一体どのようなところがスマートなのでしょうか?
これまでの玉を使ったパチンコ機との違いはどうなのか? スマパチについて簡単に説明していきます。
スマートパチンコ(スマパチ)とは?
スマパチとはスマスロ同様、一切パチンコ玉に触ることなく遊技できるというのが特徴です。
元々は釘問題対策として話が進んだ封入式パチンコと言われた構想から始まり、現在の循環式遊技機という形に落ち着いたようですが、パチンコ玉に触らずに済む衛生的観点やスマート枠でこそ使える新機能などスマスロ同様のメリットが売りとなっています。
現行機種(P機)との3つの違い+α
スマパチには玉を使う従来機と比べ、スペック面でもいくつかパワーアップすることが許されています。
スペックに関しては勝ち負けに大きく関わる要素ですが、目に見えない部分だけに打つ前から把握しておくことが重要です。パワーアップと言えば聞こえはいいものの、リスクも同時に跳ね上がるのがパチンコという遊技のセオリー。
知らずに追いかけると手痛い大やけどを負うこともありますので、改めてスマスロと従来機の違いをチェックしていきましょう。
変更点 | P機(現行機) | スマートパチンコ |
---|---|---|
大当り確率下限(通常時) | 1/320 | 1/350 |
Cタイム | 搭載不可 | 搭載可能 |
ラッキートリガー | 搭載可能 | 搭載可能 |
コンプリート機能 | 非搭載機種も存在 | 搭載義務 |
パチンコ玉に触れずに遊戯できるパチンコ(持玉カウンターと計数ボタンが搭載)
従来のパチンコ機にあった上皿部分はカバーさせるなど物理的に封じられており、玉が見えたり、触れたりすることがなくなっています。
代わりとして「持玉数表示装置」が設けられ、プレイヤーの持ち玉数が一目に分かるようになっています。プレイをやめる際に持ち玉が残っている場合は、表示部の周辺にある「計数ボタン」を長押しすることで専用ユニットへ獲得した出玉を送信することが可能。
このように、他を借りる時もプレイ中もやめる時も全てにおいて玉を触る機会はありません。 という具合に、パチンコをある程度嗜んでいた方はピンときたかもしれませんが、既に広く導入が進んでいたパーソナルシステムのスケールアップバージョンと思ってもらえれば差支えはないでしょう。
従来機を打つ時よりも圧倒的に指先を清潔に保つことができ、感染症対策としての効果も見込まれます。
大当り確率の下限値は1/350、獲得出玉率は30%アップ!
スペック面の優遇として、まず通常時(低確率)の大当り確率を1/320より高くしないといけませんでしたが、これを1/350まで下げることができるようになりました。
大当たりが遠くなってしまうことはプレイヤーにとっては不利ですが、Cタイムと組み合わせることで一回のRUSH(確変)で獲得できる平均出玉を高くすることが可能です。
つまり、激しくなった吸い込み分を補う一撃性能を持たせ、よりスリリングな展開に期待できるということです。
通常状態で搭載される「Cタイム」
スマパチ専用の新機能として、C時短と呼ばれる機能を用いた「Cタイム」なるものが新設されました。
確変中ではないハズレの一部で発動できる機能で、大当りやラッシュへ復帰したり、特定の回転数でチャンゾーンのような振る舞いを見せたりするなど、これまでのパチンコにはなかったゲーム性を持たせることができます。
機種ごとに特典の内容やCタイムの発動条件が異なるので、プレイする際には注意が必要です。
コンプリート機能(9万5,000個で稼働終了)
スマパチのみならずこれからのパチンコには全てコンプリート機能を搭載し、依存症やのめり込み対策を講じることとなりました。
あまりにも大量出玉を獲得できてしまうと過剰に射幸心を煽る危険性があるという理由からで、そんなコンプリート機能が発動する条件は「MY95000発」に設定されています。MYなどとは聞き慣れないものですが、具体的には一日の営業時間内で最も吸い込んだところから出玉をカウントし、その差が95000発に到達した時点で強制的に遊技を止めるという意味です。
期待値的にはコンプリート発動=損となるものの、出玉性能が高くなったスマパチでも滅多に到達しないため、特別気にする必要はありません。
スマパチの遊び方
ここからはスマパチの遊技方法を紹介していきましょう。
先述しましたが、パチンコは元々各台計数機の設置などスマパチのような機能を持ち合わせた環境が整備されていたこともあり、既にパチンコを打ったことがある人ならば、特段困るようなことはないはずです。
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紙幣またはICカードを専用ユニットに入れ、貸し出しボタンを押す
何はともあれ、まず玉を借りるところから始まります。
台間にある専用ユニットに紙幣、あるいは残高の残っているICカードを挿入し、貸出ボタンを押して玉を借りましょう。 -
遊技機で持玉数がデジタル表示されます。
貸出ボタンを押すと、スマパチ台側の持玉数表示装置へデジタルデータが一瞬で送られます。
これで台に玉がスタンバイしている状態となり、あとは打ち出すだけという段階になっています。 -
ハンドルを回して遊技開始
玉を借りたら電動ハンドルを回して遊技を開始します。
デジパチではスタートチャッカーに入りやすい場所へ玉が飛ぶように打ち出しの強さを調整しましょう。
なお、これまでは台と垂直に備え付けられたハンドルを右にひねることで球を打ち出していましたが、最近は前に倒すような機構で長時間打っていても疲れにくいタイプのハンドル搭載機も出てきています。
このハンドル部分の改良に関しては、スマパチだからこそというものではありませんが、覚えておくとよいでしょう。 -
入賞口に玉が入った場合、払い出しの玉数がデジタルで加算表示
大当り時に解放されるアタッカーを初め、各入賞口に玉が入ると、それに応じた払い出しが持玉表示装置に加算されます。
とにかく現状の持玉に関しては、このデジタル部分をチェックすれば一目に分かるようになっています。 -
遊技を終了する場合、遊技機にある計数ボタンを押す
プレイをやめる場合には、台にある計数ボタンを押します。
計数ボタンは主にクレジット部の周辺にあり、長押しすることで素早く専用ユニット側へ送信することができます。 -
ユニットの玉数表示を確認し、返却ボタンを押すとICカードが発行される
専用ユニットに出玉が全部送信されたことを確認したら、返却ボタンを押しましょう。
獲得した出玉などの情報が入ったICカードが排出されます。
離席の方法について
スマスロでもそうなのですが、スマパチを遊技している途中の離席、即ち、台のキープの仕方はとても重要です。
スマパチが始まる前から懸念はされていましたが、離席の際に他のプレイヤーが気付かずに打ってしまったり、持ち玉や残高のあるICカードを盗まれたりといったトラブルが多発しています。実際に被害がなく終わっても決して気分の良いものではないので、そういったことが起きないように、離席時には貴重品も含めて注意を払うようにしましょう。
まだ打つよという台キープの意思表示は、台の周辺に「一時離席中」などが書かれた札が用意されているので、それを台の分かりやすいところに置けばOK。台キープの札が見当たらない場合には、台上のデータ表示器のボタンを押すことで休憩表示が出るところもあるのでチェックしてみましょう。
また、今後は台側のメニュー画面から休憩中と表示されるような対応機が出てくるようなので、それを利用するのも一つの手です。
スマートパチンコの良い点
スマパチのよいところ、利点をいくつか紹介していきましょう。同じスマート化でもスマスロと比べると、プレイヤーよりもホール側にメリットが大きい印象です。
メリット❶プレイヤー・ホール両方にとっての効率化が可能
パチンコのスマート化で、プレイヤーにとってのメリットは台のハイスペック化が一番でしょう。
出玉推移は激しくなりますが、上手く乗りこなすことでより大きな勝利を手にすることができます。それに対し、ホール側のメリットは運用上でのコスト軽減に尽きます。まず、出玉の運搬と計数絡みで店員の労力面で大幅な軽減が見込める上に、何よりも玉の循環設備が不要となることが大きいとされています。
もちろんスマパチでも玉の循環が発生しますが、必要となるのはホール全体を張り巡らせるほどの大規模設備ではなく、各台の中に納まる循環装置というコンパクトなもので済みます。
玉の循環設備が不要となれば狭い面積での営業も可能となるため、コンビニサイズのスマパチオンリー経営も想定されています。
メリット❷Cタイムや下限1/350で出玉性能が強化される
実はスマパチだからと言って、一度の確変で叩き出せる出玉は従来機と変わりがありません。
ですが、1/350まで引き下げ可能となった通常時の大当り確率とCタイムを組み合わせることで、従来機よりもおよそ30%まで一撃性を高められるとのことです。
また出玉の多さだけでなく、Cタイムに関わるC時短という機能はかなり使い勝手良いようで、今後の主力に躍り出そうな雰囲気です。
メリット❸パチンコ玉に触れないので感染症対策や音響問題の解決
遊技する際に玉に触らないため感染症対策に有効とされますが、実は他にも有益なことがあります。
玉はその形状ゆえに上皿などからこぼれるとホールの床に散乱してしまうのですが、店側からするとこれを回収するのも一手間がかかるということで、地味ながら嬉しい利点のようです。
また、従来機では大当りなどで出玉を箱に移す際に耳障りな雑音が発生するため、客同士でのトラブルに発展するケースもありましたが、その懸念が全くなくなるメリットもあります。
メリット❹出玉データが中央センターに送信されゴト対策がスピーディーに
スマパチの出玉情報は逐一、中央の管理センターへと送られます。
ギャンブル依存症やのめり込み対策を取りやすくなり、出玉異常の早期発見などゴト対策にも有効です。
ゴト行為が行われると、被害の最終的なしわ寄せはプレイヤー側に降りかかるため、店側とプレイヤー側の双方が享受できる長所です。
スマートパチンコの悪い点
それでは先程とは逆に、従来のパチンコと比べてスマパチが持ってしまうデメリットをピックアップしていきましょう。
デメリット❶下皿が貯まる快感は無くなる
実際に玉が出てこないということで、視覚的な爽快感、満足感がなくなるのが最大のデメリット。
また、出玉を箱に移すといったパチンコ独特の音が発生しないため、プレイしている実感が湧かないという意見も結構あるようです。
音に関する部分は、メリットとデメリットがぶつかることとなり、業界側として何らかの対策が必要となるかもしれません。
デメリット❷初期導入コストが高い
専用ユニット購入費や対応する設備、出玉等の情報に関わる通信システム代など遊技機以外の部分でかなりのコストが発生します。
その後のランニングコストは従来機よりも下がると言われており、初期コストをいかに上手く吸収できるかの経営手腕が問わるところでしょう。
少なくとも、スマパチの導入は経営体力のない中小ホールには新たな負担となるのは間違いなく、このイベントを優位に進められるは大手ホールチェーンには追い風。その格差がさらに広がる懸念が指摘されています。
デメリット❸波が荒く初当たりが重くなる
スマパチでは従来機よりも通常時の大当り確率を下げる設計ができます。
これは必ずしも下げなくてはいけないということではないものの、下げることによってより激しいボラティリティを実現できるのがポイントで、多様性溢れるゲーム性の開発が可能との触れ込みではありますが、現実には下限ギリギリの1/349レベルのラインナップばかりになるのは明白です。
以上の観点から、スマパチはどうしても遊びやすいという位置からは遠いスペックの機種ばかりとなりますので、プレイする前に大当り確率など、スペックチェックを怠らないようにしましょう。
スマートパチンコ口コミ情報
スマパチの設置は既に始まっています。実際にスマパチを打ったことがあるプレイヤーの意見をいくつか紹介しましょう。
スマートパチンコの良い口コミ
スマパチと言ってもこれまでのパチンコと違和感なく打てるのがいいですね。ジャラジャラした音がほとんど聞こえないのも、家に帰ってから耳がキンキンしなくて済むので毎日打てます(2024.2)
Cタイムの威力が地味だけど面白い。自分の周りの評価は低いけど、昔の保留玉連チャン機くらいのノリで確変を引き戻せるんだから文句はないかな。こんな感じでもっといろんなタイプのスマパチが出てくれることを期待しています(2024.3)
スマートパチンコの悪い口コミ
たまたまかもしれないけど、元の釘ゲージが厳しい台ばかりでツラいかなと。大当り確率が下がっているから、投資が余計にかかるだけというイメージしかありません。ぶん回せとは言わないけど、最初のうちこそ甘い設計で釣らないとダメなんじゃないですか、普通は(2024.5)
スペック的に今までの機種とあまり違わない気がするのがなんかモヤっとするよね。体感レベルで分かるほど連チャンしやすくなった気はしないし、スマパチだからと言って打つ動機にはならないかな(2024.1)
スマパチの人気機種
スマパチの歴史はまだ始まったばかりですが、これまでにデビューを果たした中でファンからの評判が良い機種をいくつか紹介していきます。
eRe:ゼロから始める異世界生活 season2
演出カスタムの「先バレ」でそれまでのパチンコシーンを塗り替えた「Re:ゼロから始める異世界生活」の続編となる『eRe:ゼロから始める異世界生活 season2』も、デビューするや否や当然のように大人気。
スマパチの枠とは関係なく、やはり「先バレ」の気持ち良さが圧倒的支持を集め、スペック面よりも演出面、ゲーム性の秀逸さがウケています。
e花の慶次 裂 一刀両断
ニューギンが放った『e花の慶次~裂一刀両断』は120回転のST連チャンで出玉を増やすタイプ。
ST中の大当り確率は1/99.9で連チャン率は70.1%となっており、従来機よりも大当り確率が落ちている分の見返りがあまり無いように感じますが、初当りからRUSHに突入する際に必ず3000発の出玉からスタートするため、ギャンブル性が高めながらも安定感も持ち合わせているのが特徴です。
スマパチの中では安心して挑める部分と定番の慶次ブランドが見事に融合し、根強い稼働を誇っています。
スマパチ シン・エヴァンゲリオン Typeカヲル
『スマパチ シン・エヴァンゲリオン Typeカヲル』は右打ち時の大当りがALL1500発のVST機です。
STは163回と最近にしては長めに設定され、また通常時の大当りで残念ながら非確変となった場合に付いてくる時短も100回と、全体的にじっくりと遊べる作りなのがポイント。右打ち中に何度もチャンスが貰える満足性を重視した設計となっています。
まとめ
正直なところ、スマパチは普及の初動を大失敗しています。
パチンコファンの受けが悪く、従来機には客が付いているのにスマパチのシマだけガラガラ…なんてホールも珍しくありません。
これは従来との差別化が図れるほどの魅力的なスペックを持つマシンを用意できなかったことや、ギャンブル性の高さを見込んで最初から回さない、いわゆる「抜き」の営業がもたらした結果とも言え、厳しい船出となったのが現実です。
しかしながら、『eRe:ゼロから始める異世界生活 season2』などスマパチであることを意識させず、これまでのファンが打ちなれたゲーム性の機種はしっかりと人気を集めているため、スマパチそのものが嫌悪の対象となっているわけではないようです。
実際に、最近のパチンコ界では従来機の枠でもスマパチの枠でも採用できる「ラッキートリガー機」という規格が走っており、こちらは上々の支持を得ています。昔あった「CR機」というようなスペック面の飴を売りにした普及のさせ方としては失敗しましたが、今後は純粋なスマートさを武器に市場を拡大させていくことでしょう。